「トラウマ」で捉える慶良間諸島の「集団自決」 ―1982年〜1983年の教科書検定問題に焦点をあてて―

書誌事項

タイトル別名
  • 「 トラウマ 」 デ トラエル ケラマ ショトウ ノ 「 シュウダン ジケツ 」 : 1982ネン~1983ネン ノ キョウカショ ケンテイ モンダイ ニ ショウテン オ アテテ
  • The “Mass Suicide” on the Kerama Islands Examined through Trauma Theory: Focusing on the 1982-3 Textbook Controversy in Japan

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説明

本論文では、1982年〜1983年の教科書検定問題に対する慶良間諸島の「集団自決」の体験者 の反応について、トラウマ論の視点から論じる。  日本においてトラウマという言葉が周知されたのは、1995年の阪神淡路大震災と地下鉄サリ ン事件がきっかけである。沖縄戦におけるトラウマ研究は、2000年代から複数の学術領域で展 開されている。しかしその多くがPTSD(心的外傷後ストレス障害)の知見に基づき、体験者 個々人の症例を考察する論考が多くを占めている。  こうした課題を踏まえ、本論文では、トラウマ論を症例分析のために用いるのではなく、体 験者が発話する際に抱く複雑な情動や、体験者が「語れない」社会的要因を考察する手段とし てトラウマ論を用いる。  1982年〜1983年の教科書検定問題について分析した結果、慶良間諸島の「集団自決」の体験 者が沈黙していたことが明らかになった。その沈黙の背景には、「集団自決」の特徴である家 族同士・地域住民同士が互いに「手を掛け合った」という事実が関係していた。その事実は、 戦後、体験者の証言行為そのものを規定していくのである。

収録刊行物

  • 地域文化論叢

    地域文化論叢 (22), 1-20, 2024-03

    沖縄国際大学大学院地域文化研究科

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