日本中世の禅林における囲碁の「文雅」化 : 「四皓・橘中」伝説の変容をめぐって

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  • "Refinement" of the Go 碁 in Medieval Japan's Zen 禅 literature : Transformation of Sihao 四皓, Juzhong 橘中 Legends

Abstract

本稿では、「四皓 ・橘中」伝説の日本における変容をめぐって、五山漢文学に注目し、中世の五山僧による日本特有な新しいイメージが囲碁に付与(則ち「文雅」化)された過程を明らかにしてみたい。  「四皓・橘中」伝説は中国でも多岐にわたり、宋元まで既に多様な変容を遂げたが、概ね「四皓囲碁」「四叟象戯(将棋)」「四皓橘中」という三つの系統に分けられる。五山僧はこの三つの系統を受け入れたものの、「仙隠」の代わりに「高隠」の側面を重んじる。  更に、五山僧は「仏をもって仙を釈す」という立場から仏教の理論を用いて「四皓・橘中」伝説を解釈し、新たな意味を与えて変容した。五山僧にとっては、「仙隠」や「高隠」よりも、仏法の奥義と囲碁の理論が通じていること(則ち「碁隠」)が重要である。つまり、囲碁に没頭するのは森羅万象の奥義を体得することになる。これは日本特有な囲碁「文雅」化のアプローチと考えられる。

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