『ダニエル・デロンダ』におけるユダヤ人のパレスチナ復帰 : その系譜と意味

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  • ダニエル デロンダ ニ オケル ユダヤジン ノ パレスチナ フッキ ソノ ケイフ ト イミ
  • Jewish Restoration to Palestine in Daniel Deronda : Its Histry and Meaning

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抄録

ジョージ・エリオットが『ダニエル・デロンダ』において共感をこめて描いたユダヤ人像は、英国ユダヤ人たちに満足をもって迎えられ賞賛された。しかし、エリオットが描いたユダヤ人のパレスチナ復帰に対しては手放しの賞賛を控えた。この小論はなぜ英国ユダヤ人たちが賞賛を控えたかを探るものである。小説の中でエリオットは、デロンダをユダヤ人とし、ユダヤ教へ改宗させたが、そのことによってエリオットは千年王国論者の改宗についてのプロットを転覆させ、ユダヤ人のパレスチナ復帰の新しい可能性を提示した。しかし、エリオットの示すパレスチナでのユダヤ人国家構想には、彼女と同時代の千年王国論者や非ユダヤ人の持っている西洋の東洋に対する優越感が表れている。この西洋の優越感のゆえにエリオットの示したユダヤ人のパレスチナ復帰は「キリスト教的シオニズム」の域にとどまっているのである。この「キリスト教的シオニズム」がエリオットのユダヤ人のパレスチナ復帰に対して英国ユダヤ人が評価を保留した理由の一つであるかもしれない。

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