敗戦期ゲッティンゲン大学学位取得者にみる現代教育学・教育方法学の 形成動態について(Ⅳ) ――J・ゲープハルト,G・スロッタ,W・クラフキ達の1950年代 研究業績とそこに浮かび上がる戦後教育再建への同時代の情熱

書誌事項

タイトル別名
  • Doctor and Doctor Students in the Univ. of Göttingen and their Realization of Modern Pedagogy & Didactics after Nazi Regime( Ⅳ) ――the case of reformative pedagogues named J. Gebhard, G. Slotta and W. Klafki and their Researches for modern academic“ Pedagogy”
  • 敗戦期ゲッティンゲン大学学位取得者にみる現代教育学・教育方法学の形成動態について(4)J・ゲープハルト,G・スロッタ,W・クラフキ達の1950年代研究業績とそこに浮かび上がる戦後教育再建への同時代の情熱
  • ハイセンキ ゲッティンゲン ダイガク ガクイ シュトクシャ ニ ミル ゲンダイ キョウイクガク ・ キョウイク ホウホウガク ノ ケイセイ ドウタイ ニ ツイテ(4)J ・ ゲープハルト,G ・ スロッタ,W ・ クラフキ タツ ノ 1950ネンダイ ケンキュウ ギョウセキ ト ソコ ニ ウカビアガル センゴ キョウイク サイケン エ ノ ドウ ジダイ ノ ジョウネツ

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抄録

本論では,ドイツ敗戦期ゲッティンゲン大学,教員養成ゼミナール・教育大学出身学位取得者,ドクトラント達に関連して,①教育学の中に<体験的・経験的学びから理解の深まりと探求的学びの発見へ>という教育学論理を持ち込んだJ・ゲープハルト,②<子ども達の教育と学びの活性化>が生み出される契機としての「グループ授業(教授)」を研究したG・スロッタについて概観した後,③成長世代の「ことばと理解の陶冶」の理論(範疇的陶冶の理論)とも言い表しうる教育理論を創り上げ,そこに現代カリキュラム論に繋がる戦後の歴史的・教育的跳躍点を築き上げたクラフキについて概観する.そしてその後に,④<経験的教育学と哲学的教育学との生産的関係再構築>という教育学的課題に着目したスロッタによって,ペーターゼンの実験学校研究の遺産,「教育学的事実研究」の遺産が解き明かされていった事情が明らかにされる. かくして同国敗戦期教育大学出身のドクター,ドクトラント達は,総体として戦前の新教育の精神と1920-30 年代の実験学校の授業実践の中で育ち,終戦期に継承・追求された自己探求的で,一種の社会的アンガージュマンを志向する教育学研究をそれぞれの方向で創り上げていった.そこには教職経験者が有していた,教育活動についての豊富な知識・教育現実理解が取り込まれており,同時に教育事象にかかわる,深い現代的な哲学的・教授学的洞察力が解き明かされていく.重要なことは,正当派アカデミズムのエッ センスとして,彼らの遺産は現代でも現代教育原理論の中に取り込まれ,更には今日でも活きている点である. しかしわが国の教育学研究では,同諸相についての歴史的・理論史的解明が積み残されてきた.そこで本論では,敗戦期の上記ドクトラント達の学問論と並んで,戦後教育再建に取り組んだ若手研究者層の熱い情熱の一端を解明したい.

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