英語歌詞の中の否定表現 ―非標準変種の二重否定とAin’t―

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タイトル別名
  • Negative Expression in English Lyrics : Double Negation and Ain’t as Non-Standard Varieties
  • エイゴ カシ ノ ナカ ノ ヒテイ ヒョウゲン : ヒヒョウジュン ヘンシュ ノ ニジュウ ヒテイ ト Ain't

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抄録

本稿では,英語の歌詞に用いられた非標準変種である二重否定とain’tに焦点を合わせ,社会言語学と談話分析の視点からその特徴と働きを分析した。非標準変種には「潜在的威信」があると言われるが,そのような非標準変種を使うことは,それを使う仲間同士にグループ内の連帯意識を作り出す働きがあると考えられる。対人関係の視点からは,連帯意識を共有する人たちの間の関わりを促進することになる。 本稿で扱う二重否定とは,否定が繰り返され,かつ最終的な意味も否定的になるものを指す。このような非標準変種の二重否定の使用は,標準変種に比べて有標な言葉遣いであり,それだけ聞き手の注目を集め,結果的にそこに込められたメッセージを強化する役目を発揮する。具体的には歌詞中での歌い手の主張の強化や窮状描写の強化に繋がることが分かった。Ain’tの分析では,二重否定の分析同様,歌詞の中での主な機能はメッセージを強化することで,主張の強化を示す例と窮状描写の強化を表す例が確認された。 一般に,標準変種の使用が主流の談話中で非標準変種が使われる時は,その使用には何らかの特別な意味が付加されると考えられる。本論のデータとなった歌詞でも,歌詞の中で使用される非標準変種には,楽曲作者の特別な意味が含まれていた。歌詞中の非標準変種は,潜在威信を持ち仲間意識を創り出し,聞き手への働きかけが強化されることが明らかになった。

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