高度成長期前半の機械工業における工作機械設備の設置動向

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タイトル別名
  • Installation Trends of Machine Tool Equipment in the Machine Industry during the First Half of the High Growth Period
  • コウド セイチョウキ ゼンハン ノ キカイ コウギョウ ニ オケル コウサク キカイ セツビ ノ セッチ ドウコウ

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抄録

本稿は,高度成長期前半の機械工業における工作機械の設置動向を考察したものである。工作機械工業における生産動向から工作機械の設備投資状況を分析した先行研究では,高度成長期前半の工作機械生産において,旋盤のみが大きく構成比を高め,あらゆる在来型汎用機種が構成比を低めるといった変化が起きていたことが強調され,その背景に,工作機械生産を使用する生産現場が低賃金労働者の豊富な存在を基底にしながら,旋盤・ボール盤の汎用機で研削加工までおこなう,戦前段階の特質を強く残していたことの影響があったことが指摘されていた。そこで本稿では,この供給面からの分析と機械工業における工作機械設備の設置状況(需要面)の分析の比較を通じて,当該期の工作機械設備の状況を再検証した。分析の結果,当該期の機械工業では,戦前からの基軸機械であった旋盤とボール盤を中心にした投資が実施されており,特に1950年代前半については,それらの使用経過年数の大半は設置15年を上回り,老朽化の状況は機械工業のその後の発展にとってまさに隘路とも言うべき状況であった。しかし,1950年代中盤以降の機械工業における旺盛な設備投資は,基軸機械たる旋盤・ボール盤の老朽化状況を改善させていくとともに,当時,機械工業に要請されていた大量生産体制に対応可能な自動化機械への投資も行われ,戦前段階の旋盤・ボール盤体制とは異なる体制が構築されていったことが判明した。

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