心理臨床における聴くことを巡って

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  • シンリ リンショウ ニ オケル キク コト オ メグッテ

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抄録

本小論は、心理臨床における「聴くこと」を巡って、ロールプレイ演習の二律背反性について論じた。はじめに、「聴くこと」の行為は、クライエントのことを「わかろう」と共感的に聴こうとするあまり、「わかったつもり」になる側面があることを論じた。次に、養成大学院において初学者の臨床トレーニングとして導入されるロールプレイ演習を素材に、「問う」、「わかる」、「あいづち」の行為に注目し、ロールプレイ演習における基本的なかかわり技法〈言語的応答技法〉とロールプレイの流れや展開を理解しようとする〈事例の読み〉との差異に触れた。とりわけ、初学者の臨床トレーニングにおいてロールプレイ演習は欠かせないことを踏まえた上で、ロールプレイにおける〈言語的応答技法〉とロールプレイの流れや展開を理解しようとする〈事例の読み〉との二律背反性に触れ、〈言語的応答技法〉の一方向に肩入れするのでもなく、また流れや展開といった〈事例の読み〉に肩入れするのではないあり方の模索、すなわち弁証的な視点がロールプレイ演習の体験の幅を広げる契機となることを言及した。

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