情報構造に基づく中学校英語検定教科書の質的分析 ―与格交替の予備的事例研究―

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  • A Qualitative Analysis of MEXT Authorized English Textbooks for Junior High School English Education on the Basis of Information Structure - A Preliminary Case Study of Dative Alternation -

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抄録

本研究の目的は、与格交替を事例として取り上げ、情報構造の観点から中学校英語検定教科書で扱われている言語素材とその指導上の留意点を質的に考察することである。理論言語学において、情報構造は聞き手にとっての未知の情報や既知の情報が文の構成要素を通してどのように表現されるかを扱う研究分野を指す。情報構造の研究は、話し手と聞き手の間での円滑な情報交換を支える言語の仕組みの一側面を明らかにするだけでなく、言語教育における言語素材の取り扱いとその指導の在り方に対しても有益な知見をもたらすと考えられる。2021 年度から本格実施となっている新中学校学習指導要領外国語編では、言語活動を行うに当たって、実際的な言語の使用場面の設定と言語の働きを意識した指導が重視されており、言語の働きには、「コミュニケーションを円滑にする」、「気持ちを伝える」、「事実・情報を伝える」、「考えや意図を伝える」及び「相手の行動を促す」といった5 つの区分が設定されている。情報構造の研究の知見に基づいて中学校英語検定教科書を考察することにより、言語の使用場面と言語の働きを踏まえた言語素材の扱い方や指導上の留意点を具体的に明示することができると考えられる。このような指針の下、本予備研究では、中学校英語検定教科書(6 社計18 冊)の本文で提示されている与格構文と二重目的語構文の情報構造の特性と与格交替についての英文法解説を考察した。その結果、情報構造上の制約から二重目的語構文の選択よりも与格構文の選択が優先される事例がある点、また、wh 疑問文とその応答の文脈における両構文の提示と英文法の解説が限定的である点に配慮する必要性があることが明らかになった。

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