高尿酸血症を呈する慢性腎臓病患者におけるドチヌラドとフェブキソスタットによる治療効果の比較

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  • Therapeutic Effects of Dotinurad and Febuxostat in Chronic Kidney Disease Patients with Hyperuricemia

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抄録

慢性腎臓病(CKD)患者は血清尿酸値が高いことが多く,高尿酸血症は腎不全や脳心血管病の危険因子となる.腎機能が低下している場合,高尿酸血症治療薬として尿酸排泄促進薬は効果的ではなく,尿酸生成抑制薬であるアロプリノール(ALP)も副作用に注意を要するが,フェブキソスタット(FBX)などの非プリン系キサンチンオキシダーゼ阻害薬が腎不全患者にも用いられるようになり,選択的尿酸再吸収阻害薬であるドチヌラド(DTN)も導入されている.本研究では,CKDを合併する高尿酸血症に対するDTNおよびFBXの治療効果を比較した.  高尿酸血症を呈するCKD患者19例にDTN 0.5, 1, 2 mgあるいはFBX 10, 20, 40 mgを3-6か月ずつ投与する無作為交差試験を行った.各治療期終了時に血液・尿検査を行い,腎障害や心血管系危険因子を評価した.  血清尿酸値はDTN投与期とFBX投与期で同等であり(5.5 vs 5.1 mg/dL),推算糸球体濾過 (eGFR)<45 mL/分/1.73 m2の症例においても有意差はなかった(5.5 vs 4.9 mg/dL).血圧(121/79 vs 123/78 mmHg)や血清脂質,ヘモグロビンA1c(6.1 vs 6.2%)にDTNとFBXで有意差はなく,および血清クレアチニン(1.14 vs 1.16 mg/dL)や尿中アルブミン排泄(219 vs 179 mg/gCr)にもDTN投与期とFBX投与期で有意な違いは認められなかった.血漿BNP(48 vs 55 pg/mL)や血清高感度CRP(1.60 vs 1.41 mg/L)および酸化ストレスのマーカー(酸化LDL 94 vs 102 U/L, 活性酸素代謝物 339 vs 354 U.CARR)にも有意差はなかった.  CKD患者の高尿酸血症に対し,DTNはCKDステージG3bにおいても血清尿酸値を下げるのに効果的であり,心血管系危険因子に対する影響もFBXと同等であると考えられる.

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