首謀者はリーニエンシー制度から除外すべきか? : 先行研究からの知見と2022年米国リーニエンシーポリシー改正の意義

書誌事項

タイトル別名
  • Should the ringleader be excluded from leniency? : Previous economic researches and the 2022 U.S. Leniency Policy Updates

抄録

「犯罪の首謀者は重く罰する。しかし、首謀者であったとしても犯罪を申告したら恩典を与える。」この常識的な判断はカルテルの首謀者のリーニエンシー適用の問題では複雑な問題に変化する。本論文では「カルテルのリーニエンシーにおいても、首謀者は除外せず恩典を与えるべきか。」の問題についての経済学の先行研究をサーベイした上で、首謀者を重く処罰しつつ、他方で、リーニエンシー制度からは適用除外しない扱いが先行研究からみて望ましい制度であることを示す。また、2022年の米国のリーニエンシーポリシーの変更は、リーニエンシー制度から除外する要件を「発案者」「開始者」といった形式要件から「影響力」「信頼」を与えた者という実質要件に転換させた。この実質要件は、他の参加者との相対的な悪質性で決定される。この悪質性を、可能な限りリーニエンシー付与に有利に解釈するのであれば、望ましい制度改正だと評価できることも示す。

収録刊行物

  • 都市政策科学

    都市政策科学 4 (1), 1-11, 2024-04

    「都市政策科学」編集委員会

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