珠玉の英文学(3) : ワイルドとルビー

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  • シュギョク ノ エイブンガク(3)ワイルド ト ルビー
  • 研究ノート
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抄録

オスカー・ワイルドの作品は,魂と肉体,本体と影,実像と虚像といった分身論的なものが目立つ。その豊かで官能的,エキゾチックな描写の中に,東洋の様々な特産物とともに東洋の宝石が登場するのは,伝統的な英文学作品とは異なるため目を惹く。ワイルドにとっての宝石とは,地上世界から断絶した天上世界の象徴ではなく,地上と天上,物質と精神とを統合・包含する魔法の石,真の芸術の融合を体現する美の象徴である。特に「幸福な王子」と「若き王」に見られるルビーは,「小夜啼鳥と薔薇」や「漁師とその魂」などと合わせて読む時,その象徴性が一層明確になる。本稿ではワイルドの宝石学を,東洋と西洋の融合という観点から読み解くとともに,シェイクスピアやイェイツとどのように異なるのかについても触れながら考察する。

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