高齢歩行者のセルフ・レギュレーションとしての 安全ゆとり歩行

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タイトル別名
  • The safe and leisurely walking as self-regulation for older pedestrians

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抄録

目的 筆者らは、高齢運転者のセルフ・レギュレーションの枠組みとしてSOC 理論(補償を伴う選択的最適化理論)を採用した。それが高齢歩行者の安全ゆとり歩行にも適用可能かどうかを本研究で調べる。 方法 高齢者等531 人を対象に、心身機能の低下等に伴う安全歩行能力の低下を補うような、歩行前や歩行中の対処や工夫(安全ゆとり歩行)を、自由回答してもらった。また、運転頻度、性別、年齢も質問した。次いで、SOC 理論の枠組みで安全ゆとり歩行をExcel シート上で分類した。 結果と考察 安全ゆとり歩行は、歩行前の選択、歩行前の準備、日頃の準備、歩き方、通行場所、つまずき転倒注意、および注意・確認の7つに大きく分類できた。これはSOC 理論が高齢歩行者の安全ゆとり歩行にも適用可能であることを示す。ただし、分類内容は運転の場合と少し異なっていて、たとえば、選択は少なく、準備が多かった。また、予想に反し、安全ゆとり歩行の分類分布や実行率に年齢差は見られなかった。運転と異なり歩行ではセルフ・レギュレーションがそれほど重要な対処法ではないか、あるいは自由記述が高齢者にとって回答しにくくて、実行しているのにそれが記述されにくかったためかもしれない。

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