ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)感染細胞へのヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)重感染
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突発性発疹の原因ウイルスであるヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)は,後天性免疫不全症候群(AIDS)患者において高率に分離されることから,AIDS発症のco-factorの一つとして注目されている.HHV-6とヒト免疫不全ウイルス(HIV)は,ともにその主標的細胞がCD4陽性細胞であり,in vitroでHIV持続感染細胞にHHV-6感染が影響を及ぼすことが報告されている.しかしながら,これまでは,HHV-6がHIV複製を抑制するという報告と,逆に助長するという相反する報告がなされている.これらの結果の違いを解明するためには,重感染系における個々の細胞を観察する必要がある.我々は,HHV-6を感染させたウイルス粒子産生細胞にcell-freeのヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)を感染させ,急性重感染系におけるHIV-1とHHV-6の相互作用についてウイルス粒子形成という観点から形態学的に,細胞に及ぼす変性効果なども含めて検討した.その結果,HHV-6に急性感染した細胞においても,HIV-1の重感染が成立することが確認された.そして,この急性重感染系においては,二つの形態的特徴を有する細胞(細胞変性の強いもの〔Degenerative cells; D型細胞〕と形態の保持されている細胞〔Intact cells; I型細胞〕)が存在することがわかった.そしてHIV-1粒子はHHV-6粒子が多く存在するD型細胞よりもI型細胞に優位に存在した.さらに重感染系における培養上清中のHIV-1逆転写酵素活性は,HIV-1単独感染系において感染30日目まで高値であったのと異なり感染12日目から低下した.以上の結果より重感染細胞においては,HHV-6の粒子形成が盛んになり,HHV-6ウイルスによる細胞変性効果が大きくなるとHIV-1複製は抑制される可能性が示唆された.
Journal
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- Medical Journal of Kinki University
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Medical Journal of Kinki University 22 (2), 183-189, 1997-12-25
近畿大学医学会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050863241237884928
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- NII Article ID
- 110000061392
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- NII Book ID
- AN00063584
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- ISSN
- 03858367
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB
- CiNii Articles