株主の議決権行使と定款による代理人資格の制限 : 東京地裁令和3年11月25日判決を契機として

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  • カブヌシ ノ ギケツケン コウシ ト テイカン ニ ヨル ダイリニン シカク ノ セイゲン : トウキョウ チサイ レイワ 3ネン 11ガツ 55ニチ ハンケツ オ ケイキ ト シテ

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説明

会社法は、株主自身が株主総会に出席しなくても、株主の選んだ代理人を通じて議決権を行使することを認めているが(同法310条1項)、わが国の多くの株式会社では長年に渡り、「株主は他の株主を代理人としてその議決権を行使することができる」とする趣旨の規定を定款中に置いており、代理人資格を制限することが実務上定着している。こうした定款規定の効力については、株主が自由に代理人を選ぶことができないことから、その有効・無効に係る議論がなされてきたが、昭和43年の最高裁判決以降、判例・裁判例は、代理人資格を株主に制限する定款規定を有効とする立場を採っている。ただし、株主の議決権行使の機会が奪われることに配慮して、法人株主であればその従業員、病気により総会に出席できない株主についてはその親族が非株主であっても代理人になれるとの解釈を判例・裁判例は示してきた。  この点、(非株主である)弁護士が代理人として総会への入場が認められることについては、これを消極的に解する裁判例が多いが、近時の裁判例の中には、代理人資格を株主に制限する定款規定を有効と解しつつも、弁護士が代理人として総会に出席することを拒絶した会社側の対応を違法とするものが登場している。  本稿は、詳細な理由を明示した上で、弁護士が代理人として総会に出席し議決権行使ができるとした東京地裁令和3年11月25日判決の立場を取り上げつつ、代理人資格を株主に制限する定款規定の効力について、これまでの判例・裁判例や学説等を含め検討したものである。

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