日本独禁法の確約手続の現状と欧州競争法上のCommitment決定の現在地

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タイトル別名
  • The Analysis of the Developments of ‘Commitment Procedure’under the Antimonopoly Act in Japan and the European Competition Law
  • ニホン ドッキンホウ ノ カクヤク テツズキ ノ ゲンジョウ ト オウシュウ キョウソウホウ ジョウ ノ Commitment ケッテイ ノ ゲン ザイチ

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説明

本稿は,導入後5年になろうとしている日本独禁法におけるいわゆる確約手続の運用状況に関して,その制度上及び運用上の特徴について,導入時に比較検討の対象の1つであった欧州競争法上のCommitment決定の最新状況を踏まえて論点を整理する定点観測的分析を目的としている。日本独禁法の確約手続の特徴としては,手続導入以降記述が詳細になってきた部分があること,行為類型的に拘束条件付取引及び優越的地位の濫用に集中していること,確約計画の内容的に排除措置命令では困難な措置が含まれていることが確認された。もっとも,日本独禁法固有の課題として,確約手続とほぼ同じ手続的経緯をたどり事案の一定の決着を見る打切り(審査終了)事案との不明瞭な関係,法形成過程の希薄化といった点も顕在化していることも確認される。欧州競争法上のCommitment決定とは異なり市場テストも義務はなく,また,Commitment決定不遵守に対する制裁も無い中,確約手続を経ることによる競争回復の事後検証と違反行為認定でないことから生じる金銭的被害者救済の法的手段は,欧州でも検討される論点であるとともに,日本独禁法の確約手続の制度的改善に向けた取組みの必要性を示唆する。

収録刊行物

  • 比較法雑誌

    比較法雑誌 57 (4), 1-42, 2024-03-30

    日本比較法研究所

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