「に」による日本語表現の生成と展開

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タイトル別名
  • Generation and Development of Japanese Expressions with “ni”
  • 「 ニ 」 ニ ヨル ニホンゴ ヒョウゲン ノ セイセイ ト テンカイ

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説明

本稿では,機能語「に」が日本語表現の生成や展開において果たしてきた役割を,文法・意味,第二言語習得,文章(文体),談話の各側面から,通時的・共時的に探り,次のことを述べた。(1)格助詞「に」は,古代語において,多くの用法を担っており,現代語における格助詞「に」の用法の多さもこれを引き継ぐもので,これは,また,日本語学習者の使う日本語に「に」に関連する誤用が多いことにもつながっている。(2)古代~近世の文章(文体)において,格助詞「に」,および,その転じた接続助詞「に」は,和文の文章展開において重要な役割を担っており,一方,「~に」型の副詞や,格助詞「に」から派生した複合辞は,漢文訓読体において多用されている。近代文学(近代小説)の誕生には,「に」を多用する文章展開・文体からの脱却がかかわっている。(3)現代語の談話において,「に」にディスコースマーカーとしての機能がみられるようになってきている。

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