骨補填材としての炭酸アパタイトの現状と今後の展開

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  • Current status and future development of carbonate apatite as a bone substitute

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ヒトの骨の無機主成分はハイドロキシアパタイトではなく,炭酸アパタイト (CO3Ap) である.ハイドロキシアパタイトは体内で吸収されないが,CO3Apは吸収されて骨と置換する.われわれは水酸化カルシウムを前駆物質として,焼結操作を用いずに溶解析出反応によって低結晶性の炭酸アパタイトを人工合成することに成功した.炭酸アパタイ卜顆粒は,ウサギ大腿骨とイヌ顎骨における実験で,他の骨補填材よりも骨が速く形成すること,優れた生体親和性を示すことを明らかにした.2016年に上顎洞底挙上術での臨床治験を成功裏に終え,2017年に炭酸アパタイト顆粒は薬事承認され,2018年からサイトランス® グラニュールとして市販された本総説では,サイトランス® による上顎洞底挙上症例と歯槽堤造成術症例を紹介すると共に,その臨床的推奨使用法を説明した.さらに,著者らは多孔質の炭酸アパタイトの作製に成功し,炭酸アパタイト多孔体がウサギの下顎骨欠損モデルにおいて骨再建に有用であることを示した.現在,炭酸アパタイト多孔体の骨再生医療用スキャフォールドヘの応用を目指している.

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