書誌事項
- タイトル別名
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- Preliminary Analysis of Policy Effects of “Self-support settlement region framework”
- 定住自立圈の政策効果に関する予備的分析
- テイジュウ ジリツケン ノ セイサク コウカ ニ カンスル ヨビテキ ブンセキ
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説明
本稿では,定住自立圏と連携中枢都市圏の両方に参加する市町村を除いた,定住自立圏のみに属する市町村と定住自立圏候補(要件を満たしているが圏域未形成)の市町村を対象として,連携によって期待される成果指標の比較分析を行った。主な分析結果は次の通りである。第1に,規模の経済性を表す一人当たり歳出水準では,定住自立圏の市町村のほうが高いことが確認された。第2に,定住自立圏は定住自立圏候補の市町村と比べると,人口減少率が高い傾向にあることが確認され,連携による行政サービスの維持や充実が不十分である可能性が示された。第3に,定住自立圏の近隣市町村内には一般病院が平均で1つ以上存在しない状況であるが,定住自立圏内の一般病院数の平均値は定住自立圏候補の中心市や近隣市町村よりも多い傾向にあることが確認された。定住自立圏の中心市と近隣市町村は個々の市町村内の一般病院数を減少させつつも,定住自立圏を形成することで,定住自立圏候補の市町村を上回る一般病院数を確保していることが予想される。第4に,定住自立圏全体の事業系ごみの排出量は定住自立圏候補の市町村よりも多いことが確認された。他方で,直近の定住自立圏の中心市と近隣市町村のリサイクル率はともに,中心市候補または近隣市町村候補の市町村よりも高かった。このことから定住自立圏域内のごみの分別方法の統一や収集運搬の連携が効果を現している可能性が示唆された。
収録刊行物
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- 拓殖大学論集. 政治・経済・法律研究
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拓殖大学論集. 政治・経済・法律研究 27 (2), 59-76, 2025-03-25
拓殖大学政治経済研究所