農業経営主体の構造からみるマーケティング・コンセプトの必要性 -組織化による適用を目指して-

書誌事項

タイトル別名
  • Organization Structure of Agriculture as a Managerial Entity : Focusing on Need-based Application of Marketing Concepts
  • ノウギョウ ケイエイ シュタイ ノ コウゾウ カラ ミル マーケティング ・ コンセプト ノ ヒツヨウセイ : ソシキカ ニ ヨル テキヨウ オ メザシテ
  • Organization Structure of Agriculture as a Managerial Entity : Focusing on Need-based Application of Marketing Concepts

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説明

今日、日本農業は発展産業になるのか、このまま衰退産業になるのか、大きな転換期を迎えている。衰退産業といわれている日本農業は、その要因の一つに需要を広く把握できていないことがあげられる。つまり、需要を広く把握するという舵取りができれば、日本農業を発展産業に変貌させる可能性が高まると思われる。今後、農業市場が世界展開される可能性が高く、現在でも徐々に市場は広がりつつある。需要を把握することは緊急性があり、必要性が高い。 需要を広く把握する際、今日使われている分野の一つにマーケティングをあげることができる。マーケティングのなかでも消費者志向を基礎におく、マーケティング・コンセプトに注目が集まり、広く使われている。生産者と消費者とに分けた場合、生産者がいかに素晴らしい製品を生産したとしても消費者がその製品に欲求を感じ、購入しなければ意味がない。生産者は、消費者の購入を前提として生産する必要がある。消費者に購入してもらうために用いるのがマーケティング・コンセプトといえる。 日本農業における経営主体の構造は、零細農家が多く、諸外国に比べ労働投下量が多いといわれている。他にも、経済価値視点からみると、土地利用型で非効率な生産体制と叫ばれている。以上の理由から市場の需要を把握しようとしても、一農家では時間もなく労働力も配分できないため限界がある。そのため、組織の動きが多く見受けられ、総合農業協同組合(Japan Agricultural Cooperatives。以下、「JA」と略記)が中心的組織として活動している。しかし、今日の状況を考えてみるとJAのみでは不十分といわざるを得ない。JAを頂点とした農業構造ではなく、JAを含めた組織化が必要と思われる。JAも一つの主体と捉えて、他の主体と補い合うといった相互補完が求められる。零細農家が多い日本農業は、主体同士の広いネットワークを構築し、組織化しマーケティング・コンセプトを取り入れることが急務である。

収録刊行物

  • 国際経営論集

    国際経営論集 (54), 109-125, 2017-10-31

    神奈川大学経営学部

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