Business Development of Local Paper Makers in the 1920s : A Case Study of Kaga Paper Co., Ltd.

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Other Title
  • 1920 年代における地方製紙(板紙)メーカーの事業展開 : 加賀製紙の史的研究
  • 1920ネンダイ ニ オケル チホウ セイシ(イタガミ)メーカー ノ ジギョウ テンカイ : カガ セイシ ノ シテキ ケンキュウ

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Abstract

本稿の課題は,1920 年代における加賀製紙株式会社の事業展開とリーダーであった初代および2 代の中島徳太郎の企業者活動および地域・社会貢献活動の実態を解明することである. 加賀製紙は,石川県金沢市および周辺地域から豊富に入手できる稲わらを原料として板紙(ボール紙)の製造・販売を目的として,1915 年に資本金20 万円で設立された.初代社長は金沢の産業界の有力者である横山俊二郎が就任したが,事実上のトップマネージャーとなったのが金沢はもとより北陸地方を代表する紙卸商である初代中島徳太郎である.初代徳太郎が事業計画を策定し,金沢市に隣接する石川郡押野村(現・金沢市西金沢)に工場を建設して操業を開始した.第一次世界大戦の好況のもとで良好な品質と積極的の販路開拓が奏功して業績は向上した. しかし,1920 年以降は景気の悪化に伴う供給過多と製品価格の下落により業績は落ち込んだ.企業存続のために尽瘁した初代徳太郎はその最中の1922 年に死去した.その後継者となったのが養嗣子の與四郎改め2 代徳太郎である. 徳太郎は,厳しい経営環境が続くなかで,操業の効率化と設備の改善,販売業者と関係の維持,業界団体との対応に尽力し,企業を存続させたのである. その一方で地域・社会貢献活動にも旺盛に取り組み,金沢市で初の本格的な図書館である金沢市立図書館が創設されることとなった. 地方の製紙(板紙)メーカーの経営史および企業家史研究は立ち遅れており,本稿により重要な事績を析出することができたのである.

Journal

  • Kyoto Management Review

    Kyoto Management Review 37 79-98, 2020-09-01

    京都産業大学マネジメント研究会

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