単細胞および多細胞の紅藻類(紅色植物門)のポリアミン構成 : 1,6-ジアミノヘキサン,アミノブチルカダベリン,カナバルミン,アミノプロピルカナバルミンの検出

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  • Polyamine distribution profiles in unicellular and multicellular red algae (phylum Rhodophyta) : Detection of 1,6-diaminohexane, aminobutylcadaverine, canavalmine and aminopropylcanavalmine

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抄録

細胞内ポリアミン構成と多細胞紅藻類の系統進化との関連性を調べるため,大型多細胞の海藻18種(19株)を含む27種(29株)の紅藻類から酸抽出したポリアミンをHPLCとHPGC-MSにて追加分析し,既分析の紅藻21種のポリアミン構成と比較した。好熱好酸性単細胞のCyanidiales目では,CyanidiumとCyanidioschyzonがプトレスシン,スペルミジン,スペルミンを含有し,Galdieriaは,これらに加えて,ノルスペルミジンとノルスペルミンを有していた。単細胞の淡水産および海産Poryphyridiumでは,プトレスシンとスペルミジンで,種によりスペルミンを含有していた。海産単細胞性のDixoniellales目,Rhodellales目,Stylonematales目では,プトレスシン,スペルミジン,スペルミンに,ノルスペルミジンとノルスペルミンが加わった。Bulboplastisはこの5ポリアミンの内のスペルミンに代わってサーモスペルミンを主要ポリアミンの一つとして含む特徴があった。淡水産多細胞Thoreales目,Batrachospermales目,Compsopogonales目では,プトレスシン,スペルミジン,スペルミンにホモスペルミジンが追加される種が優勢であった。Bangiophyceae綱とFlorideophyceae綱の7目に属する海藻では,1,3-ジアミノプロパン,プトレスシン,カダベリン,スペルミジン,スペルミン,ノルスペルミジン,ノルスペルミン,ホモスペルミジン,サーモスペルミンが広く分布していた。1,6-ジアミノヘキサンが海藻12種に検出され,アミノブチルカダベリンがGelidiumとHypneaに,カナバルミンとアミノプロピルカナバルミンがMeristothecaに検出された。これら紅藻のポリアミン構成は系統進化的には異なる緑藻(アオサ藻)や褐藻のポリアミン構成とは異なっていた。

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