債券の静態的投資戦略-金利の期間構造からの超過収益の抽出-

  • 中谷, 吉宏
    横浜国立大学大学院 国際社会科学研究科 企業システム専攻

書誌事項

タイトル
債券の静態的投資戦略-金利の期間構造からの超過収益の抽出-
タイトル別名
  • Static Strategies for Bond Investment : Extracting Excess Returns from Term Structure of Interest Rate
著者
中谷, 吉宏
著者別名
  • ナカタニ, ヨシヒロ
  • Nakatani, Yoshihiro
学位授与大学
横浜国立大学
取得学位
博士(経営学)
学位授与番号
甲第1596号
学位授与年月日
2014-03-26

説明

債券に一定期間投資したときに得られる将来のリターンについて、金利の期間構造すなわちイールドカーブの形状が変化しない部分からもたらされるリターンと形状が変化する部分からもたらされるリターンとに分解して考える。イールドカーブの形状が変化しない部分からもたらされるリターンをローリングイールドと呼ぶ。ローリングイールドは将来時点を待たずに現在時点で計算することができる。したがって、ローリングイールドを獲得しようとする場合は予測する必要はない。ただし、形状変化が大きい場合には、ローリングイールドは将来リターンの予測指標として有効性は低いかもしれない。このような、ローリングイールドを将来リターンの予測指標として活用する戦略を本論文では静態的投資戦略と位置づける。イールドカーブの形状が変化する部分からもたらされるリターンをここでは形状変化効果と呼ぶこととする。形状変化効果は将来時点の金利の期間構造が実現するまで確定しない。したがって、形状変化効果を得ようとする場合は形状変化を予測しなければならない。ただし、予測精度が一定水準を満たさなければ、形状変化効果の予測値は将来リターンの予測指標として有効性は低いかもしれない。このような、形状変化効果の予測値を将来リターンの予測指標として活用する戦略を本論文では動態的投資戦略と位置づける。本論文では以下の仮説を主張し、理論的背景を整理し、検証を行い、これらの仮説が支持されるという結論を得ている。 一定の前提条件の下で、ローリングイールドは将来リターンの予測指標として有効である。一定の前提条件の下で、ローリングイールドを最大化するデュレーション・ニュートラル・バタフライトレードは超過収益を獲得するための債券投資戦略として有効である。 予測モデル予測精度が一定水準以上に高くなければ、予測モデルを利用して金利の期間構造の変化を予測する動態的投資戦略よりもローリングイールドを将来リターンの予測指標とする静態的投資戦略のほうが、超過収益を獲得するための債券投資戦略として有効である。すなわち、本論文で示していることは、ローリングイールドを将来リターンの予測指標として利用する静態的投資戦略は、金利の期間構造からの超過収益の抽出を有効に実行しうるということである。

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