ヒトの知覚・運動特性を考慮した任意点操作可能なパワーアシストシステム

書誌事項

タイトル
ヒトの知覚・運動特性を考慮した任意点操作可能なパワーアシストシステム
タイトル別名
  • Power Assist System Operable from Arbitrary Operational Point Considering on Human Cognition and Motor Function
著者
渋川, 文哉
学位授与大学
北海道大学
取得学位
博士(情報科学)
学位授与番号
甲第11313号
学位授与年月日
2014-03-25

説明

工場や倉庫での重量物運搬や組み立て作業においてエアバランサに代表されるマテリアルハンドリング装置等の実用的なパワーアシストシステム(PAS)が広く活用されている.これらのPASを構成するマニピュレータ自体は広い作業領域を持つ.しかし,多くのPASは操作インタフェースが先端部に固定されているため,実際の作業領域はより狭いユーザの可動域に制限される.その結果,ユーザは作業対象物に接近しなくてはならず,落下事故に巻き込まれるなどの危険が想定される.この解決策として従来は遠隔操作型入力装置として操縦桿やマスタ・スレーブシステムなどを用いることが一般的であった.しかし,これらの方法ではその操作方法に熟練する必要があり,フォースフィードバック等で操作性の向上を図る場合にもより多くのコストがかかる.そこで本研究では,力の増幅だけでなく作業領域も拡大し,且つ直感的に操作可能なPASの実現を目的とする.具体的には,PAS上の任意点からPAS先端部を操作可能にするMulti-portal Human Interface(M-HI)の研究開発を行った.M-HIとは,PASを任意点から操作することで,ユーザ自身の作業領域を超えた普段手の届かない範囲において,あたかも自身の腕が延長したかのように思い通り作業可能とするためのシステムである.これまでの研究からPAS中間関節位置から先端部を操作可能なことを確認している.しかし,その際に操作性が低下することが実験的に明らかとなった.これには多くの要因が考えられるが,本研究ではヒトの特性及び,人間機械協調の観点からM-HI適用PASの操作性を改善した.ユーザがPASを操作する際,作業対象物とPAS先端部を目視により確認しながら操作するが,ヒトの運動特性は視覚に大きく影響されることがわかっている.しかし,今までユーザの視覚がPAS操作に及ぼす影響についての研究事例は報告されていない.そこで,PAS操作におけるユーザの視覚と操作力の関係性について解析・モデル化した.この関係を考慮しPASへの操作入力を安定化する手法を提案し,実験により本手法の有効性を確認した.PASの基本的な制御則としてPAS先端部のインピーダンス制御を採用した.M-HIを用いて先端部以外の点から操作する場合,先端部と操作点の動作は一般に一致しないため,操作点のインピーダンスは,先端部に設定した所望のインピーダンスと異なり操作性が低下すると考えられる.そこで,操作点のインピーダンスと操作性の関係を明らかにした.さらに,操作点でのインピーダンスが先端部の設定値に近い値になるよう,操作点の運動を修正し操作性を向上させた.また,PAS操作点と先端部の運動が異なることで,操作点においてユーザの操作力とPASが干渉する場合がある.PASとユーザの干渉力が操作性へ及ぼす影響を実験的に明らかにした.操作点の運動と操作力の干渉を逐次軽減する手法を提案した.本手法の効果を実機及びシミュレーションにて確認し有効性を示した.

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