多発肋骨骨折による下行大動脈損傷で死亡した1例(A fatal case of descending aorta injury due to rib fractures)

抄録

<jats:title>要旨</jats:title><jats:p>肋骨骨折による大動脈損傷は時に致死的となる。今回,肋骨骨折から4日目に下行大動脈損傷を来し死亡した症例を経験したので報告する。症例は83歳の男性。来院2日前に転倒し胸部を打撲した。来院日の朝,呼吸苦が出現し当院に救急搬送された。意識清明であったが呼吸苦と低酸素血症があり,CTで左気胸および左第2–9肋骨骨折と診断した。トロッカーを挿入したところ速やかに改善したため,安静度の制限は行わず入院となった。入院2日目,臥位から座位になり昼食をとった後,突然,トロッカーより1,500mLの出血があり心停止となった。心肺蘇生を行ったが2時間後に死亡した。病理解剖により,左第8肋骨の骨折端による下行大動脈の損傷が判明した。下行大動脈損傷からの遅発性血胸は報告が少なく治療方針は確立されていない。自験例のような下行大動脈近傍の肋骨骨折では,厳重な安静度の制限や予防的手術を考慮すべきであったと思われる。</jats:p>

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