造影CTで診断し得た不全子宮破裂の1例(Partial uterine rupture diagnosed by contrast–enhanced CT: a case report)

DOI Web Site Web Site 参考文献16件 オープンアクセス

抄録

<jats:title>要旨</jats:title><jats:p>子宮破裂は産科危機的出血の約11%を占め,大量輸血や子宮摘出を余儀なくされる。しかし,腹痛や性器出血以外に特異的な症状はなく,帝王切開中に診断されることも稀ではない。症例は30歳台の女性。2年前に右卵管間質部異所性妊娠・腹腔鏡下子宮筋腫核出術を受けた。妊娠30週に強い右下腹部痛が持続し搬送された。来院時はショックで,腹部は軟らかく,右下腹部に圧痛があった。性器出血,下痢はなかった。腹部超音波検査や胎児心拍陣痛図で異常はなかったが,強い腹痛が持続したため,腹部~骨盤造影CTを行った。子宮右側周囲を中心に高吸収域と造影剤の血管外漏出があった。緊急帝王切開を行い,右間質部妊娠時の手術部位に不全子宮破裂があった。妊娠中期以降の急性腹症は妊娠,それ以外の急性腹症があり,増大した子宮により周辺臓器が変位するため診断が難しく,ときに重篤化する。胎児被爆の影響は照射時期や線量により異なり,通常100mGy以下では問題ないとされる。本症例では,妊娠30週と胎児期に入っており,被爆による流産・奇形・精神発達遅滞のリスクは低いと考えた。一方,子宮破裂は胎児・母体とも急速に危険な状態に陥る可能性がある。本症例のように超音波検査で診断がつかない急性腹症では腹部~骨盤造影CTを行うことで妊娠関連,それ以外の重篤な急性腹症の鑑別が可能となり,迅速な診断と治療につながると考える。</jats:p>

収録刊行物

参考文献 (16)*注記

もっと見る

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ