Transcatheter aortic valve implantationが奏功した低流量低圧較差大動脈弁狭窄症の1例

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タイトル別名
  • Transcatheter aortic valve implantation to low-flow low-gradient aortic stenosis

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説明

<p> 重症の大動脈弁狭窄症であるにもかかわらず, 低心機能のために大動脈弁圧較差が低値である症例が存在し, 低流量低圧較差大動脈弁狭窄症と呼ばれる. 外科的大動脈弁置換術がその予後を改善するが, 低心機能は外科手術の危険因子の1つである. そのような症例に対して, 侵襲性の低い経カテーテル大動脈弁植込み術 (transcatheter aortic valve implantation ; TAVI) がより有効である可能性がある. 症例は87歳女性. 既往に陳旧性脳梗塞, 大腿骨頸部骨折があり, 内頸動脈狭窄症と慢性腎臓病を有している. うっ血性心不全のために前医に入院となり, 大動脈弁狭窄症の加療のために当院に入院した. 心臓超音波では心機能の低下と大動脈弁狭窄を認めた (左室駆出率38%, 弁口面積0.77cm2, 最高大動脈弁圧較差47mmHg). 冠動脈造影では左前下行枝近位部に高度狭窄を認めた. 大動脈弁狭窄の重症度を評価するために, 経皮的冠動脈形成術を行ったのちにドブタミン負荷心臓超音波を行った. ドブタミンの投与により, 圧較差は47mmHgから89mmHgへ増大し, 弁口面積の増加を認めなかった. 真性重症大動脈弁狭窄症と判断し, TAVIを行い成功した. TAVIから1年後の時点において, 心不全の再発はなく, 心機能も左室駆出率51%まで改善した. TAVIが奏功した低流量低圧較差大動脈弁狭窄症の1例である.</p>

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 48 (8), 959-964, 2016

    公益財団法人 日本心臓財団

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