肺塞栓に広範な肺出血を合併した1例

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タイトル別名
  • Pulmonary embolism in a patient with massive pulmonary hemorrhage

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抄録

59歳女性, 糖尿病, 慢性腎不全, 自己免疫性肝炎があり, ステロイド内服中であった. 右下肢蜂窩織炎で入院となった. 入院時の心電図, 胸部レントゲンは異常なし. 第4病日, ベッドから起き上がった際に突然意識消失し, その後心肺停止となった. 蘇生後, 血液検査, 心エコーの所見から肺塞栓と診断し, また胸部レントゲン写真で右肺上葉に浸潤影を認め, 肺梗塞を伴っていると考えられた. t-PAの投与を行うも, 間もなく再び心肺停止となり死亡された. 剖検を行った結果, 両側に多発する肺塞栓症を認め, 広範な肺出血, 肺水腫を伴っていた. 肺塞栓は, 病理学的所見から, 数日経過したものから比較的新鮮なものが混在していた. 病理所見では明らかな肺梗塞の所見はみられなかった. 本例のように, 比較的中枢側の肺動脈の閉塞で肺出血をきたし, また発症時にすでに広範囲の肺出血を伴っていた例は稀ではないかと考え報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (SUPPL.2), S2_45-S2_48, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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