ERでの診断が困難で, かつ特殊な心筋病理像を呈したくも膜下出血の1死亡例

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  • The death case of SAN with a peculiar myocardial biopsy image

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抄録

症例は53歳男性. ゴミ焼却所で作業中に倒れているところを発見された. 来院時は不穏状態でSpO2を測定できず, 胸部X線写真では著明な肺水腫, 心臓超音波検査ではびまん性の壁運動低下を認めEF 20%程度だった. 挿管しPEEP 15mmHg, FiO2 1.0で呼吸管理をするも改善せず. その後心肺停止となり, 心肺蘇生を施行しながらの冠動脈造影で有意狭窄はみられなかった. PCPS導入下にICUで低体温療法導入を開始した. 翌日の超音波検査では心筋は浮腫様で, その後も左室壁の壁運動の改善は認められなかった. 復温後も意識は改善せず多臓器不全が進行し, 入院後5日目に死亡した. 死後に撮像したCTではSAHが確認された. その後の剖検にて脳にSAHの所見, 心筋細胞にリンパ球浸潤像が認められ心筋炎と診断された. 本症例はSAHに伴う神経原性肺水腫が原因で呼吸状態が改善せずその後ERで急変したため, 頭部CTを施行する機会がなく診断が困難であったのに加え, 病理学的に心筋炎を合併した症例だった. このような症例の報告例は見られず, 稀少と考え文献的考察を加えて報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (SUPPL.2), S2_179-S2_183, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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