外来点滴療法による末期慢性心不全患者の医療費抑制と入院日数抑制の可能性について

書誌事項

タイトル別名
  • Optimal outpatient infusion therapy for the patients with end-stage chronic heart failure may lower the length of hospitalizations and decrease the cost

この論文をさがす

説明

背景: 入退院を繰り返す末期慢性心不全患者に対する点滴心不全治療薬を用いた外来点滴療法は, QOL改善効果などが報告されているが, 安全性や入院日数抑制効果については不明である. <BR>方法: 入退院を繰り返す末期慢性心不全患者25人を対象に, 外来で延べ251回の点滴療法を施行した. カルペリチド(延べ8症例, 57回, 平均0.033γ), オルプリノン(延べ20症例, 79回, 平均0.11γ), カテコラミン(ドパミンまたはドブタミン, 延べ5症例, 115回, 平均3.2γ)を約4時間点滴し, 静注フロセミドを併用した. <BR>結果: (1)カルペリチド群では, 点滴前後で収縮期血圧(p<0.0001)と拡張期血圧(p<0.0001)が有意に低下したが, オルプリノン群では血圧や心拍数に有意な変化は認めなかった. カテコラミン群では収縮期血圧(p<0.0001) と心拍数(p<0.0001) が有意に増加した. いずれの群も不整脈の増加や過度の血圧変動は認めず, 途中中断例もなかった. (2)外来点滴療法のシステムが整備された2005年4月以降の症例について検討すると, 外来点滴導入前後で月あたりの入院日数が6.7±3.1日/月から2.5±2.5日/月へと有意に減少した(p<0.05) . また, 有意ではないが, 月あたりの入院回数は0.36±0.14回/月から0.28±0.35回/月へ約22%の減少傾向を示し, 月あたりの保険点数は20,561±9,497点/月から10,066±7,709点/月へ約51%の減少傾向を示した. <BR>結論: 末期慢性心不全患者に対する外来点滴の安全性と入院日数抑制効果が示され, 医療費抑制の可能性, 終末期医療としての可能性が示された.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 41 (6), 659-667, 2009

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ