4 cases of IABP insertion from artery of the left upper extremity before open-heart surgery

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  • 開心術前に左上肢よりIABPを挿入した4例

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今回, 左上肢より大動脈内バルーンパンピング(intraaortic balloon pumping; IABP) を挿入した4例を経験した. 1例は, 心室中隔穿孔による心原性ショック, 3例は, 低左心機能に対する予防的適応のため開心術前にIABPの挿入を行った. IABPは, 下肢からの挿入が一般的であるが, 本症例では腹部大動脈閉塞症(abdominal aortic occlusion) や閉塞性動脈硬化症(arteriosclerosis obliterans; ASO) により下肢からの挿入が不可能であった. 左上肢の上腕動脈や腋窩動脈からのアプローチを行ったがそれぞれに問題点があった. 1例目は, 上腕動脈からの挿入を行ったが,IABPの有効長が足りなかったため, 腋窩動脈から再挿入した. 2例目では, IABPの有効長不足を考え, 有効長が1例目よりも長いものを上腕動脈から挿入した. 有効長が長くなり留置可能な部位には達したものの, バルーン長も長くなり位置決めに慎重を要した. 3例目では, IABPを挿入する際にガイドワイヤーがたわんでしまい, IABP本体が上行大動脈へ向かってしまった. そのためガイドワイヤーを強度の高いスティッフタイプに換え, 下行大動脈に誘導した. 4例目は, シースを下行大動脈へ挿入した際にシースの折れが生じたために, シースを屈曲に強い蛇行血管用のシースに換え, IABPを挿入した. 4症例それぞれに問題点があったが, これらの解決策を参考にすることで上肢からのIABP留置は容易になると思われる. 今後, IABPのディバイスの改良も必要だが, 下肢からのIABP挿入が困難な症例に対して左腋窩動脈からのIABP挿入が第1選択になり得る方法と考えられた.

Journal

  • Shinzo

    Shinzo 42 (8), 1101-1105, 2010

    Japan Heart Foundation

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