離島の伝統的生活によりAEDが有効利用され後遺症なく蘇生された1例

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  • A case of ventricular fibrillation well-resuscitated by public access defibrillation in a small island where traditional group lives remain.

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抄録

症例は離島に住む60歳代男性. 心臓性突然死の家族歴はない. 某日夜, 就眠後に突然痙攣し心肺停止が確認された. すぐに家族が心肺蘇生 (CPR) を開始, 近所の住民に連絡し自動体外式除細動器 (automated external defibrillator ; AED) が持ち込まれた. 心室細動を除細動後に漁船で当院に搬送された. 来院時に意識清明で脳後遺症を生じなかった. 前胸部誘導に著明なST上昇がありBrugada症候群と診断され植込み型除細動器 (implantable cardioveter defibrilator ; ICD) 移植をうけた.  患者が居住する答志島は三重県鳥羽市にある離島で, 消防署も救急車もない. しかし海難, 火災への備えから伝統的に自衛意識が強く, 漁業協同組合, 消防団, 町内会などを中心に生活共同体が発達している. AEDは住民に共同購入, 設置され一次救命処置 (basic life support ; BLS) を含む講習会が開催されていた.  最近, 日本国内でも一般市民によるAED使用が広がり, 救命報告が相次ぐが人口が密集した公共の場やイベント中になされたものが大半である. 本例は自宅で生じた心肺停止であるにもかかわらず家族と地域住民の連携で必然的に救命されており, 学ぶべきものが多いと考えられた.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 41 (SUPPL.3), S3_28-S3_31, 2009

    公益財団法人 日本心臓財団

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