植込み型心電用データレコーダー (ILR) により意識消失の原因がてんかんと診断できた1例

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  • A case of transient loss of consciousness due to epilepsy diagnosed by implantable loop recorder

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抄録

症例は55歳男性, 2012年9月, 歩行中に意識を消失し近医へ救急搬送された. 頭部CT, MRI検査, 脳波検査上異常なし, ホルター心電図では洞性徐脈を認めるのみであった. 同年10月, 入浴中に再び意識消失したため精査加療目的で当科入院となった. 冠動脈造影検査では冠動脈に有意狭窄は認められなかったが右冠動脈の冠攣縮誘発試験が陽性であった. 臨床電気生理検査では洞結節機能, 房室伝導能は異常なかった. 頸動脈洞反射も異常なし, Head up tilt検査も陰性であった. 冠攣縮性狭心症による失神が考えられたためカルシウム拮抗薬が開始された. しかし, 薬剤開始後に意識消失発作が生じたため, 2013年3月に植込み型心電用データレコーダー (ILR) 植え込み術を施行された. 植え込み8日後に意識消失発作が出現, このときの状況が家族によりビデオに記録され, 間代性痙攣をきたしていた. ILRには筋電図ノイズが記録され, 徐脈性・頻脈性不整脈は認められなかった. てんかんと診断されカルバマゼピンを開始, 以後意識消失発作は消失した. 病歴および前医での検査の結果より, 当初は心原性失神が疑われたが, ILRにより完全にアダムス-ストークス発作が否定され, 最終的にてんかんと診断された症例を経験した. ILRは失神発作の原因不整脈の確認のみならず, 心原性失神の否定によっても失神原因の診断に有用であると考えられたため報告した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (7), 885-890, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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