軽症心不全患者における心房細動の血漿BNP値に対する影響
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- タイトル別名
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- Influence of atrial fibrillation on plasma BNP level in patients with mild chronic heart failure
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背景: 血漿脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP)は心不全の存在, 重症度, 予後を評価するために広く使われている. ガイドライン上も血漿BNP値を慢性心不全の重症度判定・治療効果評価のために使用することが推奨されている[慢性心不全治療ガイドライン(2005年改訂版)]1). 慢性心房細動を合併した心不全患者と慢性心房細動を合併していない心不全患者の血漿BNP値を比較し, BNP値の解釈に関する臨床上の問題点について検討した.<BR>患者と方法:外来通院治療中の93例の慢性心不全患者に対し, 血漿BNP濃度測定, 心エコー図検査を施行した. 93例のうち, 慢性心房細動を合併した心不全患者は53例, 慢性心房細動を合併していない心不全患者は40例であった.<BR>結果: 年齢, 性別, 虚血性心疾患と肥満を除いた背景因子は両群で同様であった. BNP, log BNPは2群間で差はなかったが(219.4±134.4 vs 177±100.6pg/mL, 2.26±0.27 vs 2.19±0.23), ニューヨーク心臓協会心機能分類(New York Heart Association; NYHA)は, 心房細動非合併群は心房細動合併群よりも重症であった(1.22±0.46 vs 2.15±0.70, p<0.0001). NYHA I~II度または左室収縮能が保たれているサブグループ(左室駆出分画率≥50%) における血漿BNP値は心房細動合併群で心房細動非合併群よりも有意に高値であった.<BR>結論: NYHA I~IIまたは左室収縮能が保たれている心房細動合併軽症心不全例においては, 心不全の診断や重症度判定を行う場合には, BNP値のみならず臨床症状やそのほかの指標も参考に総合的に判断すべきである.
収録刊行物
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- 心臓
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心臓 42 (8), 1041-1047, 2010
公益財団法人 日本心臓財団
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001204048691072
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- NII論文ID
- 130002147056
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- ISSN
- 21863016
- 05864488
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可