ステロイドパルス療法が奏効したサルコイドーシス急性増悪症例

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  • A case of cardiac and plumonary sarcoidosis showing acute exacerbation : the effect of steroid pulse therapy

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抄録

症例は, 58歳, 女性. 両眼ブドウ膜炎の加療中に両側肺門リンパ節腫脹を指摘され, 気管支肺胞洗浄検査および経気管支的肺生検で肺サルコイドーシスと診断された. 67Ga citrateシンチグラフィで左室壁に集積あり, 心サルコイドーシスの合併について精査予定であった. 精査前に呼吸困難が生じ, うっ血性心不全の診断で利尿薬の投与が開始されるも効果乏しく, 急激な左室収縮能低下と肺病変の増悪が生じた. 急性心不全および急性呼吸不全に陥り, 当院へ転院となった. サルコイドーシスの急性増悪症例と考え, ステロイドパルス療法を開始した. ステロイド治療開始後, 左室壁肥厚は著明に改善し, あわせて胸水ドレナージと適応補助換気を施行したことで, 速やかに呼吸状態は改善した. また心不全に対する薬物治療として, 早期よりフロセミドおよびスピロノラクトンに加えてβ遮断薬を少量から開始した. アンジオテンシンII受容体拮抗薬 (angiotensin II receptor blocker ; ARB) は血圧が低く投与困難であった. ステロイドパルス療法後の後療法は高用量 (1mg/kg/日) から開始し漸減, 再増悪することなく入院66日目に退院となった.  サルコイドーシス急性増悪症例に対してステロイドパルス療法が奏効した1例を経験したので報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 45 (5), 541-547, 2013

    公益財団法人 日本心臓財団

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