航空会社との連携により機内発症の心室細動による心肺停止患者の社会復帰に成功した症例

  • 五十嵐 裕美
    東邦大学医療センター大森病院綜合診療科/救命救急センター
  • 伊藤 博
    東邦大学医療センター大森病院綜合診療科/救命救急センター
  • 一林 亮
    東邦大学医療センター大森病院綜合診療科/救命救急センター
  • 坪田 貴也
    東邦大学医療センター大森病院綜合診療科/救命救急センター
  • 吉原 克則
    東邦大学医療センター大森病院綜合診療科/救命救急センター
  • 小泉 雅之
    東邦大学医療センター大森病院循環器内科/不整脈センター
  • 佐藤 秀之
    東邦大学医療センター大森病院循環器内科/不整脈センター
  • 山崎 純一
    東邦大学医療センター大森病院循環器内科/不整脈センター
  • 池田 隆徳
    東邦大学医療センター大森病院循環器内科/不整脈センター

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説明

症例は60歳代の男性, 未治療の高血圧の既往があり, 国内線の飛行機内で心肺停止となった.客室乗務員が自動体外式除細動器(AED)を装着し1回作動後に心拍が再開し, 羽田着陸後, 当センターに緊急搬送された.AEDの記録では心室細動(VF)を呈していた.JCSII-10, GCS E4V2M4, 瞳孔3mm大で左右差なく, 血圧212/mmHg, 脈拍111/分であった.心電図は洞調律で, V4~6誘導でstrain T波が認められた.脳保護目的で低体温療法が3日間施行された.復温後に意識状態は回復し, 神経学的後遺症は認められなかった.ACh負荷冠動脈造影で4-AVが完全閉塞となり, 冠攣縮性狭心症と診断された.心臓電気生理学的検査(EPS)でVFが誘発されたこともあり, 植込み型除細動器(ICD)が植え込まれ退院となった.2010年1月より当センターは羽田空港の航空会社と救急医療連絡会を行っている.同年10月に新国際線旅客ターミナルが開設し, 旅客数の増加が見込まれる.迅速な応急処置と救急処置で救急の輪が成立し, 社会復帰が可能となった症例であったので報告する.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (SUPPL.2), S2_5-S2_10, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

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