著明な右心不全を呈した心室ペースメーカリードによる三尖弁閉鎖不全症に対して三尖弁形成術を施行した1例

DOI
  • 三島 健人
    新潟県立新発田病院心臓血管・呼吸器外科
  • 後藤 達哉
    新潟県立新発田病院心臓血管・呼吸器外科
  • 島田 晃治
    新潟県立新発田病院心臓血管・呼吸器外科
  • 大関 一
    新潟県立新発田病院心臓血管・呼吸器外科

書誌事項

タイトル別名
  • A case of tricuspid valvuloplasty for symptomatic tricuspid regurgitation due to ventricular pacing lead

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抄録

症例は74歳男性. 1991年に洞不全症候群に対してVVIペースメーカ埋め込み, 1995年にリード断裂に対しリードの追加を施行. 2009年にジェネレータ交換のために入院した際, 顔面浮腫, 腹部膨満あり, 三尖弁閉鎖不全 (TR) 4度を指摘された. 2011年4月肝障害, 腎不全をきたし入院. ペースメーカによる高度のTRが症状の原因と考えられ手術となった. 術前のCT検査では腹水を認め, 心エコー検査では, 三尖弁尖は離開しTR4度を認め, また僧帽弁閉鎖不全 (MR) 2度も認めた. 人工心肺心停止下に僧帽弁輪の形成術を施行した後, 三尖弁を観察すると, 2本のリードのうち使用していない古いリードが後尖とその腱索に癒着し後尖の動きを妨げていた. この癒着を剝離し, 古いリードを抜去した. 三尖弁の弁尖に明らかな異常は認められず, 著明な三尖弁輪の拡大に対し弁輪形成を施行した. 使用しているリードはそのまま温存できた. 術後の心エコー検査でMRは消失, TRは1度となり, 腹部膨満は著明に改善した. ペースメーカ移植後に重度のTRから著明な右心不全をきたし手術にいたる症例は稀と思われる. また, 2本のリードの1本のみ抜去し, 1本を温存し三尖弁を修復した手術の報告は認められず, 稀な症例と考え若干の考察を加え報告した.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (6), 742-746, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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