オルメサルタンによる降圧治療の有用性の検討

書誌事項

タイトル別名
  • Antihypertensive efficacy of olmesartan medoxomil
  • Differences of renal protective effect in patients with chronic kidney disease(CKD)
  • CKD原疾患別降圧度と腎保護作用の分析

説明

目的: レニン·アンジオテンシン(renin-angiotensin; RA)系阻害薬オルメサルタンの降圧度と腎保護効果の関係について検討した.<BR>方法: 2004年から2009年の間に順天堂大学医学部附属順天堂医院腎·高血圧内科外来通院加療中で, 12カ月以上, オルメサルタンが継続投与され, 降圧薬処方内容, 量の変更がなく, 診察時血圧, 推定糸球体濾過量(estimated glomerular filtration rate; eGFR)·蛋白尿測定が定期的に行われていた患者109名を対象とし, 投薬背景や原疾患別にカルテベースで分析した.<BR>結果: すべての群で有意な降圧効果を認めた. 新規にオルメサルタンの単独投与が開始されたA群では, 有意な蛋白尿減少効果を認めたが, eGFRは低下傾向を示した. RA系阻害薬以外の降圧薬投与中にオルメサルタンが追加されたB群では, eGFRの低下は認めなかったが, 蛋白尿減少効果もみられなかった. ほかのRA系阻害薬の単独投与からオルメサルタンに切り替えられたC群では, 切り替え時の血圧が比較的低く, 蛋白尿減少効果は軽度で有意差を認めなかった. RA系阻害薬を含む降圧薬の多剤併用中にアンジオテンシンII受容体遮断薬(angiotensin II receptor blocker; ARB)がオルメサルタンに切り替えられたD群では, オルメサルタン投与量が最も多く, 蛋白尿減少効果は軽度でeGFRが有意に低下していた. 原疾患別にみると, 本態性高血圧蛋白尿陽性群で降圧度とeGFRの間に有意な相関がみられた. 本態性高血圧蛋白尿陰性群では, 蛋白尿陽性群に比して投与開始前のeGFRが高く, 投与後の有意なeGFR低下はみられなかった. 一方, 慢性腎炎症候群では, 12カ月後の降圧度と蛋白尿減少率およびeGFRとの間に相関はみられなかった.<BR>考察: オルメサルタンには, より強力な降圧効果と降圧効果に依存しない蛋白尿減少効果が認められたが, 一方でeGFRは低下した. オルメサルタンがeGFR低下速度を促進あるいは減速したのかは不明である. 原疾患や病態の違いにより, RA系の関与の質や量が異なることが示唆され, RA系阻害薬の投与にもその質·量の使い分けが求められていると思われる.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 44 (2), 123-130, 2012

    公益財団法人 日本心臓財団

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001204049499648
  • NII論文ID
    130004562495
  • DOI
    10.11281/shinzo.44.123
  • ISSN
    21863016
    05864488
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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