待機的に僧帽弁形成術が可能であった高位側壁枝病変による急性心筋梗塞後に合併した前乳頭筋断裂による重症僧帽弁逆流症の1例

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  • A case of successful elective mitral valve plasty in a patient with mitral regurgitation due to partial anterior papillary muscle rupture caused by acute myocardial infarction on high lateral branch

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抄録

症例は60歳代, 男性. 畑仕事中, 胸痛が出現し近医受診するも異常を指摘されなかった. その後も労作時呼吸困難はみられていたが, 発症11日後に安静時にも呼吸困難が出現したため再診したところ, 胸部X線にて肺水腫を認め入院した. 利尿薬等で改善したが, 経胸壁心エコー図で僧帽弁逆流がみられ精査加療目的で当院に紹介入院となった. 経食道心エコー図で重症僧帽弁逆流症を認め, 僧帽弁前尖 (A1) と前交連が逸脱し, その弁尖には可動性のある疣腫様構造物が存在していた. 3D経食道心エコー図でも僧帽弁前尖 (A1) の外側の一部から前交連部領域の逸脱が明瞭に観察できた. 冠動脈造影では高位側壁枝が高度に狭窄しており, 支配域と思われる領域に壁運動異常を認めた. 心不全の加療後僧帽弁形成術を施行したところ, 逸脱した僧帽弁前尖には腱索と断裂した乳頭筋を認めた. 高位側壁枝病変の急性心筋梗塞に合併した前乳頭筋の部分断裂のため重症僧帽弁逆流症を呈したと考えられ, 約1カ月半の保存的治療の後に待機的に僧帽弁形成術が可能であった.

収録刊行物

  • 心臓

    心臓 46 (5), 582-589, 2014

    公益財団法人 日本心臓財団

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