湿生植物オオクグの結実率とその群落規模との関係

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タイトル別名
  • Seed set ratio and its relationship with vegetation scale in marsh sedge, Carex rugulosa
  • シッセイ ショクブツ オオクグ ノ ケツジツリツ ト ソノ グンラク キボ トノ カンケイ

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抄録

汽水域沿岸に群生するオオクグ(カヤツリグサ科)を対象に,自家受粉,他家受粉等の処理における結実率,および結実率と群落規模の関係を調べた。オオクグは個々の開花ラメートに雄性花穂と雌性花穂をつける風媒花である。松江市大橋川沿岸の発達した群落で交配実験を行なったところ,雄性花穂を切除した場合の結実率(77%)はコントロール(75%)と有意な差はなかった。よって,発達した群落では周囲の開花ラメートから十分な花粉が供給されると考えられた。袋掛けにより外交配を阻止して人為的に自家受粉した場合(48%)と,袋掛けしつつ人為的に他家受粉した場合(68%)の結実率の差は有意ではなく,オオクグは自家受粉の場合も種子生産が可能と考えられた。大橋川沿岸以外の3ケ所の小型の群落は顕著に低い結実率(2%~37%)を示した。このことから,小規模な群落では,花粉供給量の制限などによってラメートあたりの種子生産は減少していると考えられた。

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