琵琶湖の植物プランクトン成長に及ぼす農業排水の影響評価の試み

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タイトル別名
  • Preliminary report on evaluating the effects of agricultural drainage on phytoplankton growth in Lake Biwa
  • ビワコ ノ ショクブツ プランクトン セイチョウ ニ オヨボス ノウギョウ ハイスイ ノ エイキョウ ヒョウカ ノ ココロミ

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抄録

琵琶湖集水域では古来より農業が営まれ,長年にわたって農薬や化学肥料などの化学物質が幅広く使用されてきた。これら化学物質が琵琶湖に生息する生物に及ぼす影響が懸念されている。本研究では,田植え期の4月中旬から6月下旬の期間,水田排水とそれが流入する河川水,そして琵琶湖水について,琵琶湖の植物プランクトンを用いたバイオアッセイによって農薬毒性および化学肥料による栄養塩負荷の影響について評価した。琵琶湖表面水は,5月中旬を除くその他の時期には,植物プランクトン成長にとって栄養塩制限下にあるが,河川水と水田排水には,水田からの栄養塩負荷によって植物プランクトン成長に充分な栄養塩の存在することが分かった。ただし5月中旬には,琵琶湖表面水でも植物プランクトンは栄養塩制限を示さなかった。一方,この時期には,農薬によると考えられる植物プランクトンの成長阻害が認められ,同時に測定された農薬濃度との関係をみると,除草剤であるPretilachlorとの間に有意な正の相関関係が認められた。このように,5月中旬には植物プランクトンに対する水田排水からの農薬影響が認められたものの,栄養塩負荷による成長促進が,農薬による成長抑制効果を上回っている可能性が示唆された。

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