富栄養化が進む菅生沼河川水の地下浸透に伴う水質組成の変化とその要因

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  • Chemical evolution of river water infiltrating the bottom sediment at the Sugao Wealth nourishing Marsh
  • フエイヨウカ ガ ススム スガオヌマ カセンスイ ノ チカ シントウ ニ トモナウ スイシツ ソセイ ノ ヘンカ ト ソノ ヨウイン

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抄録

茨城県南西部の菅生沼および流入河川を対象に,主成分および窒素・硫黄安定同位体比の分析を実施し,水質汚染の現状を把握するとともに,硝酸態窒素と硫酸態硫黄の発生源を特定した。また,地表~深度200cm間で採取した沼底堆積物と間隙水を対象に,鉱物・水質組成を分析し,菅生沼周辺の水圏・生物圏・表層地圏における水質形成機構を考察した。さらに,水質形成機構の妥当性を水-鉱物相互作用の化学平衡論により検証した。<BR> 菅生沼の水質はT-N,T-Pが高く,全国の主要な湖沼と比して富栄養化が進んでいる。水質はCa-HCO3・SO4・Cl型に分類され,NO3- とSO42-に富む。Na+-Cl- およびCa2+-HCO3- 間に見られる正の濃度相関は,生活排水の塩化ナトリウム(人為要因),方解石の風化(自然要因)に由来することを示唆する。地表水のδ15N値とδ34S値(それぞれ+ 11.2 ~+ 15.4 ‰,+ 4.0 ~+ 7.0 ‰)は窒素と硫黄の生活排水起源を示唆する。ただし,閉鎖水域(上沼)の硫酸態硫黄の発生には表層土壌中の黄鉄鉱の酸化が関与している。菅生沼河川水の地下浸透に伴い,次のプロセスが進行したと推察される:(1) 沼底~深度24 cm間におけるNO3- およびSO42-濃度の激減,Fe2+ 濃度の急増:微生物(脱窒菌,鉄還元菌,硫酸還元菌)による有機物の段階的な酸化分解,(2) 深度24~100 cm間におけるCa2+ とNa+ 濃度の逆相関:沼底堆積物に含まれるモンモリロナイト中のCa2+ と間隙水中のNa+のイオン交換反応。

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