浅い汽水湖沼における夏季に堆積物から溶出したリンの湖底への再沈降割合とその機構

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タイトル別名
  • The mechanism and rate of re-sedimentation of phosphorus released from the sediment during the summer months in shallow brackish lakes
  • アサイ キスイ コショウ ニ オケル カキ ニ タイセキブツ カラ トケダシタ リン ノ コテイ エ ノ サイチンコウ ワリアイ ト ソノ キコウ

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抄録

浅い汽水湖沼である宍道湖において,19年間の水・塩分・リン収支を計算した。19年間の年間平均淡水流入量は1.25~2.35×109m3で,平均は1.77×109m3であった。下流に位置する中海からの逆流量は0.32~0.84×109m3で,平均が0.49×109m3となり,淡水流入量の27.7%に相当した。淡水流入量と中海からの逆流量を考慮した滞留日数は47.5~76.2日,平均で59.4日であった。年間TP流入量に対して沈降する割合は-23.6%~69.3%の範囲にあり,宍道湖においては年間に流入するTP負荷の20.9%が宍道湖湖底に堆積していることが明らかとなった。また,年間TP流入量と沈降率とは正の関係(r=0.71)があり,流入量の少ない渇水年は沈降量が少なかった。<br> 8~9月ごろに溶出によりピークを迎えたTP濃度は11~12月にはほぼ平常値となる。TP現存量のピークから平常値となる間の宍道湖への流入負荷量,宍道湖から流出する水量及びTP濃度を用いて,溶出したリンが再度湖底へ堆積する割合を計算した。TPの沈降割合は8.8~65.6%の範囲にあり,平均で溶出したリンの45.1%が再度湖底に沈降し,翌年以降の溶出に関与すると考えられた。<br> リン濃度が減少する過程において,SRPは大きく減少したが,PPの変化はほとんど見られなかったことと,リンの減少と同時に堆積物直上のDOが増加していることから,リンの減少は嫌気化に伴って溶出したSRPが堆積物表面の好気化により直接吸着された結果と考えられた。この時堆積物はSRPを放出した後であるためリンの欠乏状態であり,容易にSRPを吸着するものと考えられた。

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参考文献 (18)*注記

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