元素鉛直分布および炭素・窒素安定同位体比と形態別リン分布が示す藤前干潟堆積物の生物地球化学的特徴

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  • Biogeochemical characteristics of the Fujimae tidal flat sediments indicated by vertical distribution of elements, stable isotope ratios of carbon and nitrogen, and five types of phosphorus fractions
  • ゲンソ エンチョク ブンプ オヨビ タンソ ・ チッソ アンテイ ドウイタイヒ ト ケイタイ ベツ リン ブンプ ガ シメス フジ ゼン ヒガタ タイセキブツ ノ セイブツ チキュウ カガクテキ トクチョウ

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抄録

<p> 2012年8月に名古屋港藤前干潟で15 cm長の5本の柱状試料を採取し,それらのスライス試料(1.5 cm長)50個について,無機・有機元素,炭素・窒素安定同位体比,5種類の形態別リンを分析した。これより,都市河口域に位置する干潟堆積物の生物地球化学的特徴を明らかにし,有機物の起源が形態別リン鉛直分布に与える影響について考察した。<br> 無機元素のPbとZnの濃縮係数はそれぞれ1.72,1.66で人為的な重金属濃縮を確認した。C / Nモル比の平均値は15.1,δ13Cは河川懸濁物と同等の-25.81 ‰を示し,有機物は陸源由来の河川懸濁物が卓越していた。またリンの形態別鉛直分布では,鉄結合態リンが卓越し表層0 - 1.5 cmでゆるく吸着したリンと合わせTPの約70 %を占め,深さとともに減少し6 cmより深い場所ではTPの約38 %でほぼ一定となった。これは,深さ6 cm付近に鉄の酸化還元境界層が存在していたことを示唆する。このように表層付近が酸化的であったのは,干潟の干出に加え,難分解性の陸源性有機物が卓越したことによって,堆積物間隙水や直上水の溶存酸素濃度の低下が抑制されていたことも原因として考えられる。</p>

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