福島原発事故から2年後の霞ヶ浦におけるユスリカ幼虫の放射性セシウム137(<sup>137</sup>Cs)の濃度と移行状況

  • 佐竹 潔
    国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 上野 隆平
    国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 松崎 慎一郎
    国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 田中 敦
    国立研究開発法人国立環境研究所 環境計測研究センター
  • 高津 文人
    国立研究開発法人国立環境研究所 地域環境研究センター
  • 中川 惠
    国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター
  • 野原 精一
    国立研究開発法人国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • The activity concentrations and concentration factors of radio-cesium 137 (<sup>137</sup>Cs) in chironomid larvae in Lake Kasumigaura two years after the Fukushima Accident
  • 福島原発事故から2年後の霞ヶ浦におけるユスリカ幼虫の放射性セシウム137(¹³⁷Cs)の濃度と移行状況
  • フクシマ ゲンパツ ジコ カラ 2ネンゴ ノ カスミガウラ ニ オケル ユスリカ ヨウチュウ ノ ホウシャセイ セシウム 137(¹ ³ ⁷ Cs)ノ ノウド ト イコウジョウキョウ
  • The activity concentrations and concentration factors of radio-cesium 137 (137Cs) in chironomid larvae in Lake Kasumigaura two years after the Fukushima Accident

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抄録

<p> 福島第一原子力発電所事故から約2年後に,霞ヶ浦(西浦)の沖帯3地点(湖心,土浦入,高浜入)において湖水を採水し,併せてエクマンバージ採泥器を用いてユスリカ幼虫を採集した。オオユスリカ(Chironomus plumosus)は調査を行ったすべての地点で測定に必要な個体数が得られたが,オオカスリモンユスリカ(Tanypus nakazatoi)は1地点でのみ測定可能な個体数が得られた。これらのユスリカ幼虫を用いて,放射性セシウム137(137Cs)濃度(単位質量あたりの放射能;Bq wet-kg-1)を測定するとともに,137Csの濃縮係数を算出した。その結果,湖水およびユスリカ幼虫の137Cs濃度は地点間で差があり,同一地点では種間差があった。オオユスリカの137Cs濃度は5.5~20.7 Bq wet-kg-1であり,オオカスリモンユスリカの12.3 Bq wet-kg-1と同じオーダーであったが,土浦入では,オオカスリモンユスリカよりも,オオユスリカの137Cs濃度のほうが高かった。また,濃縮係数を算出したところオオユスリカは380~1060であり,オオカスリモンユスリカの630と同じオーダーであったが,土浦入ではオオユスリカの方が高かった。本研究は,スナップショットではあるが,ユスリカ幼虫の濃縮係数を示したはじめての研究であり,捕食者である魚類などへの餌を通じた移行を考える上でも重要な知見となる。</p>

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参考文献 (15)*注記

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