長野県白駒池に生息する<i>Botryococcus braunii</i>の脂質生産特性

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タイトル別名
  • Lipid production of <i>Botryococcus braunii</i> in high-altitude dystrophic Lake Shirakoma, Japan
  • 長野県白駒池に生息するBotryococcus brauniiの脂質生産特性
  • ナガノケン ハックチ ニ セイソク スル Botryococcus braunii ノ シシツ セイサン トクセイ

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抄録

緑藻のBotryococcus brauniiは多量の炭化水素を生産することが知られている。近年,この藻類が長野県の標高2,150 mにある白駒池にも生息していることが分かった。本研究は白駒池産B. brauniiの炭化水素及び脂肪酸の生産特性,さらに生態学的位置を明らかにすることを目的に,白駒池から採取したB. braunii(天然試料)とその単離培養株(培養試料)について,遺伝子解析,同位体比分析および脂質分析を行なった。脂質分析及び遺伝子解析の結果から,本種はA raceに分類されること,遺伝子解析の系統樹からは,山中湖から分離されたB. braunii Yamanakaに近いことがそれぞれ判明した。両湖は,冬季に結氷するような寒冷な環境であるという共通点がある。したがって,これらの株は寒冷な気候に適応した特性を持つのではないかと考えられた。また,脂質と同位体比分析の結果から,B. brauniiは白駒池においては動物プランクトンの餌資源になっている可能性は低いと判断された。天然試料の炭化水素生産量は,最大で乾燥重量の0.045 %であった。一方で,培養株では,炭化水素生産量は乾燥重量比で最大12.5 %を記録した。これらのことから,白駒池産B. brauniiは,条件さえ整えば,多量の炭化水素を生産しうることが明らかになった。

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参考文献 (21)*注記

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