Monte Carlo Study of Two-Color QCD with Finite Chemical Potential

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  • Monte Carlo Study of Two-Color QCD with Finite Chemical Potential〔和文〕
  • Monte Carlo Study of Two Color QCD with Finite Chemical Potential ワブン

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抄録

ウィルソン フェル ミオンを用いて有限密度のSU(2)格子QCDの構造を調べる.格子QCDによる有限密度SU(3)のシミュレーションでは作用が複素数になってしまうという問題が知られている.そこで,このような困難さのないSU(2)での解析を行い,そこからSU(3)の情報を何かしら得ようとする試みがなされている.ここでは,メトロポリス法の中のリンク変数(ゲージ場)を更新する部分で,フェル ミオンの行列式の比を厳密に求めるアルゴリズムを採用し,有限な化学ポテンシャルでのバリオン数密度やポリヤコフ線,そして擬スカラー及びベクターメソンの質量を4^4と4^3×8の格子上で求めた.擬スカラーメソンは化学ポテンシャルμが格子間隔で測って0.4程度になると有限な質量を持つという結果が得られた.これはカイラル対称性が回復していることを強く示唆する。また我々のシミュレーションでは,相転移点に近付くと数値的に不安定になり,計算が途中で止まってしまった.そこでこの数値計算上の不安定性を調べるために,フェル ミオンの行列式の振る舞いと行列式の固有値の分布の解析を行った.その結果,相転移付近ではフェルミオンの固有値の分布に「Shell-and-Bean」構造が見られることが判った.以上の計算は強い結合領域で行われているため,フェル ミオン固有値の奇妙な振る舞いは連続極限から遠く離れた,粗いコンフィギュレーションに起因している可能性もある.そのため,改良された作用を用いた計算も行った.ここでは計算結果を中心に述べる.計算手順の詳細については参考文献に記述している.

収録刊行物

  • 素粒子論研究

    素粒子論研究 103 (5), E103-E105, 2001

    素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部

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