共形不変な電磁放射場が満たす"双対"の幾何力学構造について(基研研究会 量子科学における双対性とスケール,研究会報告)

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タイトル別名
  • 共形不変な電磁放射場が満たす"双対"の幾何力学構造について
  • キョウケイ フヘン ナ デンジ ホウシャジョウ ガ ミタス"ソウツイ"ノ キカ リキガク コウゾウ ニ ツイテ

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抄録

電磁気学の基礎式として知られるMaxwell方程式は、変位電流という数学的に整合的な量を導入する事により、電場と磁場を統一する電磁場としての表現形式を与える事に成功した。ここでは、まず、流体力学的な古典場の表現方法を用いて、ヌル測地線と関連付けられる渦(幾何)力学の存在を議論し、それが真空中を伝わる電磁波と同型である事を示す。電磁波に関するLorentz gaugeの中に現れるスカラー場はSugawara form のmass-less scalar fieldと見做す事ができ、このスカラー場を上記の渦力学を構成する一要素と見做す事によって、電磁場とそれに同型の渦の場を力学的に結合できる事を示す。更には、この渦(2階の交代テンソル)のテンソル積から作られる4階のテンソルはRiemannの曲率テンソルが満たす性質を全て満たす事を証明し、それ故に、電磁場に加わったこの双対構造としての新たな自由度は、真空中において重力場のエネルギーと曲率を運ぶ自由度を与え得る事も示す。すなわち、このスカラー場は、電磁場と重力場放射を結合しうるという意味において、電場と磁場を結びつけた変位電流と同様の役割をになう存在であることを議論する。

収録刊行物

  • 素粒子論研究

    素粒子論研究 119 (4A), D158-D170, 2012

    素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部

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