e^+e^-→h^±X反応におけるBjorken scalingの破れと運動量のゆらぎの分数及びtime like photonの拡がりについて

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  • e + e h X ハンノウ ニ オケル Bjorken scaling ノ

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抄録

e^+e^-→h^±X反応における一粒子分布函数から,次の3つの事柄を見出した。1)この分布函数には,Perkins et al.がdeep inelastic eP及びμP散乱で発見したBjorken scalingの破れの項とは,別のtypeの項が存在すること。2)運動量のゆらぎの分数はf_<2p>=<p^2>/<p>^2-1=0.3+0.15l_n(s/9.0)×θ(s-9.0)で振るまう。3)このゆらぎで不確定性原理を用いると,e^+e^-消滅過程で放出されたハドロン間の相関領域は,1.1fm(√<s>=3GeV)から0.6fm(√<s>=7.4GeV)であることが導びかれた。1976年のTbilisi会議で,Hansonによって,radiative correctionの施された,一粒子分布函数が与えられた。この分布函数のBjorken scalingの破れ(VBS)の検討,或いは高次のモーメントの計算(<x^n>;n=2,3,:x=2p/√<s>)は,今だに見出せない。そこでこの論文では,上述の2つの事柄について調べてみよう。極く最近Perkins et al.によって,現象論的にdeep inelastic eP及びμP散乱におけるVBSが調べられた。Perkins et al.は,VBSが,0&les;x'=q^2/2Mν&les;1で次の形にまとまることを示した。 F^<VBS>(x,q^2)=EXP((0.25-x')ln(q^2/q^2_0))θ(q^2-3.0)(1) 此処で我々は、ref.2)に与えられた関係式に注目しよう。彼らはeh→eXとe^+e^-→hX反応の間に、充分高エネルギーで次の関係式が成立すると予期した。 (ln(q^2/μ^2)及びln(s/μ^2)>>1の近似で) x'F^<eh>(x',ln(q^2/μ^2))=F^^-^<e^+e^->(x^<-1>,ln(s/μ^2))(2) Model計算のわく内ではあるが,VBSの項を含む形で一般化されたGribov-Lipatov関係式を提唱した。従って,方程式(1)と(2)が本当に正しければ,e^+e^-→h^±X反応においても,方程式(1)と類似の項が存在することが期待出来る。そのために,ref.1)に見出しうるデーターを.ref.4)の手法で分析してみる。次に高次のモーメントを求めると,モーメントのエネルギー依存性と,放出された粒子の運動量のゆらぎ(Δp=<p^2>-<p>^2)^<1/2>)が計算できる。勿論,Bjorken scaling(BS)が,全エネルギー領域で成立していれば,モーメントはエネルギーに依存しない。<x^n>は次式で定義されうる。[numerical formula](3) 此処で,<n_<ch>>は荷電粒子の平均の多重度,^σTはtotal cross section,G(x,s)はnormalizedされた一粒子分布函数と呼ばれる。VBSがe^+e^-→h^±X反応に存在すれば,M_n(s)のふるまいや,Δp又はf_<2p>=(Δp)^2/<p>^2のふるまいに,規則的なエネルギー依存性が観測出来ることが期待されうる。

収録刊行物

  • 素粒子論研究

    素粒子論研究 56 (3), 57-64, 1977

    素粒子論グループ 素粒子論研究 編集部

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