公衆衛生の倫理に関する教育の現状とカリキュラムの方向性

  • 松井 健志
    東京大学大学院医学系研究科グローバルCOEプログラム「次世代型生命・医療倫理の教育研究拠点創成」
  • 金川 里佳
    東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻医療倫理学分野
  • 児玉 聡
    東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻医療倫理学分野
  • 赤林 朗
    東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻医療倫理学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Current and Future Public Health Ethics Education in Japan
  • コウシュウ エイセイ ノ リンリ ニ カンスル キョウイク ノ ゲンジョウ ト カリキュラム ノ ホウコウセイ

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抄録

近年,公衆衛生に関する様々な倫理的課題が生じる中,英米を中心に,「公衆衛生の倫理(public health ethics)」に関する教育実践が重視され,研究が進んでいる.しかし,わが国ではこれまで,教育実践の実態や必要教育カリキュラムに関する研究は行われてきていない.そこで,全国の医育機関を対象に調査研究を実施した.<br>1) 医学部・医科大学及び国立保健医療科学院を含む全国81医育機関のうち,全国医育機関衛生学・公衆衛生学教育担当者名簿に登録された201講座の長を対象に自記式質問票調査を実施した.<br>2) 公衆衛生の倫理に関する教育の実態(授業時間割合など),及び,公衆衛生の倫理教育として扱うべきテーマをはじめとする教育カリキュラムのあり方に関する意識について尋ねた.<br>3) 有効回答101講座のうち,60.4%が担当授業の中で倫理教育を行っていたが,倫理教育への現在の充当時間割合は8.0%であり,望ましいと考える時間割合(8.8%)よりも少なかった.<br>4) 公衆衛生の倫理に関する科目の履修必修化については肯定的な意見が大半であり,公衆衛生政策と関連したテーマおよび医学研究の倫理に関するテーマに対する教育ニーズが高かった.<br>5) 公衆衛生の倫理に関して,現状における教育実践の不備,及び,専門的かつ体系的教育の必要性・重要性が示された.また,今後の必要教育カリキュラムについて,一定の方向性が示された.

収録刊行物

  • 医学教育

    医学教育 40 (2), 117-122, 2009

    日本医学教育学会

参考文献 (10)*注記

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