ルキアーノスの『アナカルシス』における体育論について : 体育思想史的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Some Thoughts Concerning Lucian's Thought of Physical Education in "Anacharsis"
  • ルキアーノス ノ アナカルシス ニ オケル タイイクロン ニ ツイテ タイイク

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説明

ルキアーノス(120〜190A.D.)の『アナカルシス』を検討した結果, 次の3点が明らかになった. I. 彼は競技の目標を, (1)市民および国家の自由, (2)安寧, (3)栄誉, (4)先祖伝来の祝祭の喜び, (5)一族の繁栄といった伝統的な精神的遺産に求め, また競技者像を, (1)男らしい勇気, (2)身体美, (3)最高の身体的状態, (4)栄誉, (5)勝利への不屈の意志, (6)敢闘の精神をもったものと捉えている. したがって, これらは倫理的教育的競技観といえる. II. 国家防衛者の教育方法に関しては, 魂の教育と体育を重視し, 具体的な資質としては, (1)軽快で強靭な身体を持つこと, (2)勇気があること, (3)優秀な人間であること, の3点を挙げているので, これらはプラトーンの国家篇における防衛者の把握の仕方と類似したものといえる. III. 競技見学に関しては, 青年の魂をふるいたたせることによって, 競技への動機づけになると把えているとみられる. 以上の3点は, 体育思想史的に有意義なものと考える.

収録刊行物

  • 体育学研究

    体育学研究 20 (3), 177-184, 1975

    一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会

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